直面しやすい10のプロジェクト管理課題と乗り越え方
プロジェクト成功の実績を持つ組織は、わずか47%です。つまり半数以上の組織が、プロジェクト失敗につながるほど深刻なプロジェクト管理課題に直面しています。
プロジェクトが失敗すると、プロジェクトチーム内の不満が高まり、組織としてのPM成熟度も下がります。その結果、プロジェクトで期待していた効果を実現できなくなります。

物事が計画どおりに進むことは多くありません。それでも、起こり得る落とし穴を把握し、早い段階で対処すれば、プロジェクト成功の可能性を大きく高められます。
この記事では、代表的な10のプロジェクト管理課題を取り上げ、それぞれへの対処法を紹介します。
さっそく始めましょう。
1. 明確な目標がない
プロジェクトでは、具体的な目標を設定し、それをステークホルダーに共有して合意しておくことが不可欠です。
プロジェクト全体の目標、達成したいミッション、期待される効果が明確であれば、ステークホルダーの納得を得やすくなります。結果として、プロジェクトを効果的に進めるために必要なリソースも確保しやすくなります。
明確な目標と具体的なメリットがないことは、特に進行中に問題が起きたとき、プロジェクトへの意欲を低下させる大きな管理課題です。さらに、成功基準がなければ、どのタスクをいつ優先すべきか判断しづらくなり、混乱、無駄な作業、不満につながります。
成功基準は、進捗を測り、プロジェクトの成否を判断する基準にもなります。これがなければ、予定どおり、予算内で進んでいるかを把握しにくくなります。
対処法
プロジェクト開始時に、ビジネスにもたらす効果がわかる明確な目的を設定します。各成果物を支える重要成功要因を整理し、必要なリソースについてステークホルダーの承認を得ましょう。
さらに一歩進めて、各成果物を成功と判断する基準を定義し、プロジェクトが成功に向かっているかを示す指標について合意します。
プロジェクト実行中は、指標に対する進捗を共有し、成功が危うい場合は早めに対応しましょう。
2. スコープクリープ
プロジェクトの目標が明確でないと、スコープクリープが起こりやすくなります。スコープクリープとは、当初合意した成果物が後から増えていく状態で、プロジェクト計画プロセスにおける大きな課題のひとつです。

実務者は、スコープの頻繁な変更を、最も重大なプロジェクト管理課題のひとつとして挙げています。
スコープクリープの最大の問題は、必要な作業量が増える一方で、それを支える追加リソースがないことです。プロジェクトチームに過度な負担がかかり、ストレスや生産性低下につながります。
対処法
プロジェクトのスコープを早い段階で定義し、何を提供するのか、同じくらい重要なこととして何を提供しないのかを明確にします。
プロジェクト全体に責任を持つプロジェクトスポンサーやプロジェクトボードを含む上級ステークホルダーに、スコープを合意してもらいましょう。
スコープがプロジェクト文書に明確に記載されていることを確認します。設計や実行フェーズで成果物が追加された場合は、その文書を使って、どこでスコープが広がったのかを上級ステークホルダーに示します。
プロジェクトスコープの変更は珍しくありませんが、実行に必要な追加リソースが確保されていれば対応できます。
たとえば、eCommerceサイトに取り組んでいる場合、WooCommerceプラグインを追加リソースとして検討できます。
スコープ拡大に合意したら、プロジェクトの予算または期限もそれに合わせて見直しましょう。お気に入りのプロジェクト管理ツールを使い、スコープ内に収まっているかを確認してください。
3. チームコミュニケーション不足
プロジェクト管理でコミュニケーションが不足すると、不満、タスクの重複や漏れ、依存関係を無視した非効率な作業フローにつながります。
コミュニケーション不足はリソース管理にも影響します。チームメンバーが自分のスキルや経験を共有していなければ、適性の低いタスクを任され、生産性が下がる可能性があります。
また、プロジェクトの進捗が効果的に共有されていないと、チーム内のモチベーションが下がり、生産性がさらに低下します。
対処法
チームメンバー同士の共同作業を促すため、効果的なコミュニケーションチャネルを用意しましょう。まずは新入社員向けのオンボーディングプロセスを作成します。週次進捗会議のような正式な仕組みと、よりカジュアルな方法の両方を活用してください。リモートワークは適切に運用しないと難しくなりますが、適切なチーム管理ツールがあれば、コミュニケーションは大きく改善します。
共有の会議スペースでプロジェクト計画とタイムラインを見える化し、誰が何に取り組んでいるのか、タスク同士がどうつながっているのか、全体目標にどう貢献するのかを全員が把握できるようにします。
可能であれば、プロジェクト管理ソフトウェアなどのツールを使って、効果的なコミュニケーションを支えましょう。すべての人がアクセスでき、文書共有や注釈を促せる中央の保管場所も必要です。同じ部屋にいない場合やリモートチームで働いている場合は、ScreenRecのようなツールで画面を録画すると便利です。メールの量を大きく減らす助けにもなります。
また、チームメンバーが自分の仕事の貢献を実感できるように、プロジェクトの進捗を共有し、成果を称えることも大切です。
最後に、必要なときに安心して協力や支援を求められる環境を作るため、チームビルディングや交流イベントの活用も検討しましょう。
4. 能力不足
プロジェクト管理におけるチーム課題の中でも、能力不足は大きな問題です。多くの場合、プロジェクトは通常業務と並行して進められます。そのため、役割に必要なスキルや経験を十分に持たない人がプロジェクトに入ることがあります。

また、プロジェクト計画が不十分だったり実行中に遅れたりすると、必要なタイミングで重要なリソースを確保できず、経験の浅いメンバーが作業を担うことになります。
対処法
プロジェクト開始時に、プロジェクトマネージャーは成功に必要なリソースを明確に示す必要があります。各役割に必要なスキルと経験を説明するコンピテンシーマトリクスも含めるべきです。
必要なスキルと実際の人員配置の間にギャップがある場合は、プロジェクトの成功に最終責任を持つプロジェクトスポンサーへ報告します。
たとえば、チームメンバーの中にはプレゼンが得意でも、PDFをGoogle Docとして開くような技術的作業は得意ではない人がいるかもしれません。それは役に立たないという意味ではなく、期待に応えられる責任を割り当てる必要があるということです。
追加研修、経験豊富なメンバーのシャドーイング、経験の浅いメンバーが慣れるまでの進捗低下に備えて、プロジェクトスケジュールには余裕を組み込んでおきましょう。
MasterclassやStuDocuのようなオンライン学習リソースをチームメンバーが利用できるようにすることも、スキルアップに役立ちます。
5. 予算の問題
スコープと並んで、プロジェクトの成功は時間と予算によって決まります。この3つは、調整が必要な代表的なプロジェクト管理課題です。スコープが拡大したりタスクが遅れたりすると、プロジェクト予算に大きな影響が出ることがあります。
プロジェクト実行のために確保された予算には限りがあるため、資金が尽きればプロジェクトは危機に陥ります。予算内で完了するプロジェクトは43%にとどまり、プロジェクトがもたらす財務的な効果も削られてしまいます。
予算超過は、プロジェクト成功への信頼を下げる可能性もあります。
資金が段階的に支給される場合、現在のフェーズで予算管理が不十分だと、次のフェーズの資金にも影響します。信頼が下がれば、ステークホルダーが損失を抑えるためにプロジェクトを早期終了させることもあります。
対処法
プロジェクト計画フェーズで現実的な予算を設定しましょう。スコープと期待される成果物を踏まえ、それらを実現するために必要なリソースを計算します。
遅延やリソース確保の難しさに対応できるよう、プロジェクト予算の中に小さな余裕を作っておきます。
実際のコストを予測コストと照らし合わせて細かく追跡し、問題は早めに共有します。予算が厳しい場合は、重要成功要因と主要成果物を優先し、「あると便利」な要素は削りましょう。
プロジェクトのスコープが変わった場合は、必要な予算を再計算し、新しい作業を実行するための追加資金をプロジェクトスポンサーに相談します。
6. 非現実的な期限
鉄の三角形の3つ目の辺として、すべてを終わらせるには時間が足りないと感じることは、よくあるプロジェクト管理課題です。

期限どおりに完了するプロジェクトに関する統計は厳しく、期限を守れる成功プロジェクトはわずか29%です。
ステークホルダーが各タスクに必要な時間について非現実的な期待を持っていると、プロジェクトが遅れる可能性は高まります。不適切なスケジューリングの影響はさまざまな方向に広がります。非現実的な期限はリソースに圧力をかけ、予定調整を難しくし、チーム内に大きなストレスを生みます。
対処法
ステークホルダーと密に連携し、プロジェクト完了に向けた現実的な期限を設定します。何をどの順序で完了すべきかが明確になるよう、スコープをきちんと言語化しましょう。
類似プロジェクトで各タスクにどれくらい時間がかかったかを示し、ステークホルダーの期待値を調整します。期限を動かせない場合は、スケジュールどおりにタスクを進めるための追加リソースを確保しましょう。
プロジェクトライフサイクル中は、将来のプロジェクトに活かせるよう、タスクに使った時間を記録します。期限に関する問題が起こりそうな場合は、できるだけ早くプロジェクトスポンサーへ伝えましょう。
7. 説明責任の不足
説明責任とは、物事を完了させるために行動し、完了しなかった場合の結果に責任を持つことです。
オーナーシップが不足していると、人は作業の抜け漏れや重複をあまり気にしなくなります。結果に対する意識が薄いからです。
そのため、説明責任の不足は、プロジェクト遅延、リソースの非効率な利用、混乱、チームメンバーの不満につながります。
対処法
RACIマトリクスを作成すると、各タスクの責任所在を明確に示しやすくなります。
タスク完了に最終責任を持つ人、実作業を担う人、相談または報告が必要なステークホルダーを整理できます。
成果物に責任を持つ人は、作業を実行する人と密に連携し、意欲を高めながら問題を解消していく必要があります。
上級管理職は、タスクが正常に完了しなかった場合、タスクオーナーに説明責任を持たせる必要があります。
契約スタッフの場合は契約解除やボーナスの喪失、正社員の場合は人事評価で指摘される可能性があります。
同時に、上級管理職はタスクを成功裏に完了した責任者を評価すべきです。
8. リスク管理が不十分
リスク管理は、ビジネスにとって価値のあるプロジェクト管理プロセスとして2番目に高く評価されています。

そのため、プロジェクトマネージャーの60%超が何らかの形でリスク管理に取り組んでいるのも不思議ではありません。
リスク管理が不十分だと、リスクに効果的に対応しにくくなり、規制やコンプライアンス上の問題にもさらされやすくなります。
プロジェクトリスクを軽減したり先回りして対処したりできなければ、よくて火消し対応、悪ければプロジェクト失敗という状況に追い込まれます。
その影響は、リソースの非効率な利用から、事業運営、評判、財務安定性への大きな悪影響までさまざまです。
対処法
リスク登録簿を必ず作成しましょう。リスク登録簿は、プロジェクトで起こり得る問題と、それが全体の成功に与える影響を特定するものです。
登録されたリスクは、発生可能性と発生した場合の影響度によって分類できます。
各リスクには、リスクを監視する責任を持つオーナーを割り当て、変化があればリスク登録簿を更新してもらいます。リスクオーナーは、リスクが問題化した場合の影響を抑えるための軽減策も準備しておく必要があります。
9. ステークホルダーの関与が限られている
ステークホルダーが関与していなければ、プロジェクト成功に必要な支援を得るのは難しくなります。
上級ステークホルダーは、成果物を実現するために必要な資金や人員の提供に消極的になり、プロジェクト自体が始まらない可能性もあります。
競合する取り組みがある場合は特に、ステークホルダーにプロジェクトの価値を納得してもらい、投資に自信を持ってもらう必要があります。
対処法
プロジェクトの価値を明確に伝えることが不可欠です。プロジェクト成功が相手の指標にどう影響し、チームにどんなメリットをもたらすかなど、ステークホルダーが理解しやすい言葉で説明しましょう。
プロジェクト期間を通じてステークホルダーの関与を保つため、効果的なコミュニケーション計画を作ります。定期的な更新を予定し、プロジェクトが見え続ける状態にしましょう。
これは、ビジュアル中心のプロジェクトでは特に重要です。たとえば解説動画の制作に取り組んでいるなら、進行中の成果を見せるのが理にかなっています。Webサイト構築やリブランディングキャンペーンでも同じです。
こうした場合は、ステークホルダーに動画メールで更新を送ると、どこまで進んでいるのかを正確に見せられます。
ステークホルダー評価マトリクスを使って関係者を分析し、関心度や影響力が高い人にコミュニケーションを集中させることも検討しましょう。
こうしたステークホルダーは、プロジェクトの推進役となり、関与が低いグループからの支持を広げる助けになります。
10. リソース管理が不十分
効果的なリソース管理は、基本的にキャパシティと能力の2つで成り立っています。仕事を効果的に進めるには、適切な人材を適切なタイミングで確保する必要があります。

リソース管理の不備は、不十分なプロジェクト計画の結果のひとつであり、この2つの要素のどちらかにギャップがあることを意味します。
リソースの使い方を適切に計画していないと、プロジェクトの適切なタイミングで必要なスキルを確保できない可能性があります。その結果、プロジェクト遅延や、チームメンバーが穴埋めに追われて疲弊する状況につながります。
また、高額な契約スタッフを早く採用しすぎて、待機させたままコストだけが発生することもあります。
対処法
優れたリソース管理には、効果的な計画が必要です。堅実なプロジェクトスケジュールを作ることで、どのタスクをいつ提供すべきかを把握できます。
何を提供する必要があるかが明確になれば、タスクを完了するために必要な能力とキャパシティを判断できます。
その時点で、必要なものと現在利用できるリソースを比較します。プロジェクト管理上のリソース課題がある場合は、必要なものを確保できるよう、早めにステークホルダーへ相談しましょう。
予算増額のためにプロジェクトスポンサーへ相談する場合でも、採用支援のためにHRへ相談する場合でも、リソース要件を整理したらすぐに関係者へ話すことで、必要な支援を得られる可能性が高まります。
結論
プロジェクトを管理しているなら、いずれかのタイミングで少なくとも1つはこれらの課題に直面する可能性があります。ただし、事前に知っていれば備えられます。
この記事を通じて、プロジェクト管理でよくある10の課題とその対処法がより明確になっていれば幸いです。プロジェクト内の危険信号に気づき、問題が大きくなる前に早めに行動しやすくなるはずです。
効果的なプロジェクト管理に欠かせないのは、人を管理することです。それが自分のチームであれ、外部契約者であれ、上級ステークホルダーであれ同じです。
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